クラシック音楽の世界に触れてみたいけど、どこから手をつけたらいいか分からない。
とりあえず有名な曲を聴いてはみたけど、あまり面白いと思えなかった。
そんな経験がお有りの方はいらっしゃるでしょうか?
実は、それにはちゃんと理由があるんです。
例えばベートーヴェンは『○○』ですから、人によって合う合わないがあると思います。
この記事では、クラシック音楽の歴史、西洋人と日本人の体質の違いといった観点から、本当の意味で初心者の方が聴きやすいクラシック音楽がどんなものかを考察して、そこから厳選したおすすめの曲を、5つ紹介していきます。
もっと、クラシック音楽を気軽に楽しんでいただけるキッカケとなれば幸いです。
…さて、『○○』とは一体何でしょう?
答えは、是非本文からどうぞ(^人^)
(ライター: hermin)
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単刀直入に、何から聴いたらいいの?
聴いていて心地良いと感じる、お気に入りの曲を探すことから始めてみるのがおすすめです。例えば、JPOPで浜崎あゆみが好きな人もいれば、そうでない人もいるのと同じように、クラシック音楽でベートーヴェンが好きな人もいれば、そうでない人もいます。
クラシック音楽といっても、古今東西ありとあらゆる曲が、何千何万曲と存在しています。
あまり好きではない曲を『クラシックはこういうもの』と聴くのも勉強になりますが、自分にしっくり来るお気に入りの曲を何度も聴いて、そこから広げていくのは、もっと楽しいと思います。
好きな曲を聴いているうちに広がって、あまり好きではなかった曲の良さが分かるようになったりすることもあります。
では、何万曲とあるクラシック音楽曲の中からどうやって自分のお気に入りの曲を見つけたらいいのでしょうか?
それは、とにかく聴いてみること。
しかし自分で一から始めるのは、大変なことですよね。そこで一度原点に立ち返り、現代の日本人にとって聴きやすい曲はどんなものなのか?ということを、音楽史的な視点で考えていきたいと思います。
ベートーヴェンは演歌、ブラームスは昭和歌謡?!
クラシック音楽の歴史は大きく6つに分けられます。
中世(5世紀〜14世紀)
ルネサンス(15、16世紀)
バロック (16世紀末〜1750)
古典派 (18世紀半ば〜19世紀初め)
ロマン派 (19世紀)
20世紀 (現在まで)
バロック音楽の有名な作曲家は、バッハです。
古典派の作曲家にはハイドン、モーツァルト、ヴェートーベンなどがいます。
次のロマン派は、メンデルスゾーン、ショパン、ブラームス、ラフマニノフ、ムソルグスキーなどの多くの素晴らしい作曲家たちがいます。
そして20世紀のクラシック音楽は近代・現代音楽とも言われており、多様性に富んだ作曲家たちが、今もなお斬新な試みの曲を作り続けています。
よく現代音楽は奇抜すぎて分からないと聞くことがありますが、たしかにそういう曲もあるのですが、音楽史をきちんと踏襲した現代風のクラシック音楽というのも多くあります。
それぞれの時代を日本の音楽に例えて言うならば、
・古典派は演歌
・ロマン派は昭和歌謡
・20世紀はいわゆる平成のJPOP
という風になります。
今の時代で、演歌が好きな方というのは、なかなか通な方でしょう。そのときの時代でセンセーショナルで革命的だった音楽が、次の世代では当たり前になり、だんだんと古くなって新しいものと交代していく。これは音楽に限らず、自然の摂理のようです。
クラシック音楽は、訳すと古典音楽。
その名の通り、古いものを遺して愛す意味合いが強く、現にクラシック音楽通の方は古典派・ロマン派がとても好きな方が多いです。それでクラシック=ベートーヴェンのようなイメージがあるのかもしれませんね。
私が思うに、たしかにベートーヴェンは素晴らしいですが、古い時代の音楽であることには変わりません。一般的に、クラシック音楽が敬遠される大きな理由の1つは、ここにあるのではないかと考えます。
通常、クラシック初心者の方におすすめの曲というと、クラシックそのものである古典派のベートーヴェン、その流れを汲むロマン派のブラームスなどといった、代表的な作曲家の曲を紹介することが多いようです。
しかし、以上のことから…
というのが、私の持論です。
われら日本人のアッパレお祭り音頭体質
また、日本人はそのルーツから、歌と太鼓がとても好きな民族です。太鼓は2拍子、または倍の4拍子のリズムを取り、現にJPOPのほとんどの曲が、歌のある4拍子のものです。
西洋には昔から、舞踏会でワルツを踊るという風習があります。ワルツは3拍子です。そのため、西洋人は3拍子の独特のリズムが生まれながらにして自然と身についています。
ちなみに、日本人が3拍子の曲を演奏するのが苦手というのは、音楽界隈では有名な話です。民族によって元々得意・不得意なものがあるようで、それは好みにも影響します。
ですから、現代の日本人がさらに聴きやすいものは、さきほどの新しい音楽であることに加えて、
・4拍子系の曲
である、と考察します。
上記の条件に合った音楽の中で、私が特におすすめしたい曲を、次に5つセレクトしてみました!気になったものがあれば、どうぞ聴いてみてください。
※「」の前が作曲家、「」内が曲名です。
(1)ドビュッシー「アラベスク」
フランス出身の恋多き作曲家、ドビュッシー。彼の楽曲はどれもまるで絵画のようで、1つ1つの和音にそれぞれ違った色彩が感じられる。
アラベスクはピアノ曲で、流れるような曲線美が特徴的な作品。
他おすすめ曲:
ピアノ曲
「月の光」
「夢」
「水の反映」
管弦楽曲
「小組曲」
「交響詩 海」
(2)シベリウス「フィンランディア」
フィンランドの作曲家。彼の作品からは、真白の雪や凍てつく寒さ、厳しい自然界によって鍛えられた強い生命力などが感じられる。
19世紀末から20世紀初頭にかけて、フィンランドはロシアの圧政下にあり、ロシアからの独立に燃えていたフィンランド国民を鼓舞したのがこの「フィンランディア」であった。
愛国的な感情を呼び覚ますとされ、当時ロシア当局からの弾圧を受け、このタイトルで演奏することが禁じられていたほどだった。力強い愛と希望に満ちた曲。
他おすすめ曲:
ピアノ曲
「樅の木(もみのき)」を、左手のピアニスト、舘野泉さんの演奏で。
管弦楽曲
「交響曲第2番」
「ヴァイオリン協奏曲ニ短調」
(3)レスピーギ「ローマの松」
イタリアの作曲家。レスピーギはこの他に「ローマの噴水」「ローマの祭り」という交響詩を作曲しており、これらは3つ合わせて「ローマ三部作」と呼ばれている。
ローマを何世紀にもわたって見守ってきた『松』という自然の証人を通して、古代ローマに想いを馳せた作品。郷愁と幻想という2つのテーマで織り成された美しい作品。
(4)ボロディン「だったん人の踊り」
後期ロマン派に活躍したロシア5人組の1人。ロシア5人組とは、19世紀後半のロシアで民族主義的な芸術音楽の想像を志向した作曲家集団のこと。
共通理念は、反西欧、反プロフェッショナリズム、反アカデミズム。ロシア5人組のほとんどが本職を別に持っていて、ボロディンは化学者だった。
だったん人の踊りは、ボロディンが作曲したオペラ「イーゴリ公」の第二幕の曲で、独特の民族的な哀愁溢れる旋律が心にくる作品。思わず覚えて口ずさんでしまうような特徴的なフレーズ。
おすすめ他(ロシア5人組全体):
「交響詩 中央アジアの草原にて」(ボロディン)
「展覧会の絵」(ムソルグスキー)
(5)スメタナ「モルダウ」
チェコ出身。当時チェコはオーストリア帝国によって支配されており、独立国家への想いが音楽の情熱の元となった。チェコ音楽の祖と呼ばれている。
モルダウは6つの交響詩からなる連作交響詩「わが祖国」の第2曲目で、特に著名な曲。祖国にある大きなモルダウ川を描いた。誰もが心の中の故郷を想い出して、深く感情に訴えかけられるような、感動的な作品。
最後に
以上個人的におすすめの曲をいくつか挙げてみましたが、やはり好みも人それぞれなので、ここから気に入った曲が見つからなくても、どうぞ気長に、自分の納得のゆく1曲を探してみて欲しいと思います。
また、ベルリンフィルやウィーンフィルといった一流のオーケストラの演奏はやはり素晴らしいので、そういった楽団の演奏をまず何でもいいから聴いてみる、というのもおすすめの方法になります。
聴けば聴くほど奥深く、聴くたびに深い感動を与えてくれ、自身の純粋な魂に立ち帰らせてくれるクラシック音楽。
そしてクラシックは、宇宙からの贈り物である音と、人類の叡智の結晶の融合であるとも言えます。あなたの心に優しく寄り添うパートナーのような曲との出会いがありますように。