リラックスしたい時におすすめのクラシック音楽5選
2017/10/19 [本日] 1 views [累計] 111 views
あなたはクラシック音楽を聴いて、眠くなったことがありますか?
私はクラシック音楽が好きでたまにコンサートに行くのですが、無性に眠くなって、気付いたら寝てることが結構あります。
よく考えれば、寝れるほどリラックスできるって、すごい癒しの効果ですよね。
今回はそんな癒しのクラシック音楽から、特にリラックスにおすすめの曲を、5つ紹介したいと思います。
気になるものがあれば、どうぞ聴いてみてくださいね!
※なお、紹介するのは「」の前が作曲者名、「」内が曲名となります。
(ライター: hermin)
(1)バッハ「管弦楽組曲第3番第2楽章アリア」
この曲は、「G線上のアリア」で有名な、バッハの代表作の一つです。弦の重なりが美しく、どこまでも澄み切った青空が広がっていくような、明るくて広大な曲です。
この曲の正式名称は上の通り「管弦楽組曲第3番第2楽章アリア」で、18世紀前半頃に作曲されました。
G線上のアリアというのは、その後19世紀頃に、ヴァイオリニストのウィルヘンミが、ヴァイオリンの一番下の弦であるG線だけで弾けるように編曲したものです。
何が大きく違うのかというと、調性です。原曲はD dur(ニ長調)で、レから始まりファが♯の調です。それに対しG線上のアリアは、C dur(ハ長調)で、♯無し、単純なドレミファソラシドの調です。(dur=長調、moll=短調)
ただ、G線上の方で有名になったからか、今では原曲の方も「G線上のアリア」と言うことが多いようです。たしかに、正式名称の方は、長くて覚えづらいですもんね。。笑
(2)グノー「アヴェ・マリア」
この曲を一言で表すならば、『母の愛』です。
まるでお母さんの胎内に戻って、その中で安心して丸くなって目を瞑って、ぷかぷかと羊水に浮かんでいるような。全てを許し愛してくれる、タイトル通りの、聖母アヴェ・マリアを想起させる曲です。
実はこの曲、バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻の前奏曲第1番ハ長調、という曲を伴奏に、ラテン語の聖句「アヴェ・マリア」を歌詞に用いた声楽曲なのです。
つまり、バッハのカバー作品なのです!
現代的に言うと、『平均律クラヴィーア曲集第1巻の、前奏曲第1番ハ長調 feat.グノー』
といったところでしょうか。笑
バッハを見事に踏襲し、新しいものへと進化させた、素晴らしい作品となっています。
グノーもバッハも、作曲家であると同時に、教会のオルガン奏者でもありました。どちらの曲も、神々しく美しい響きです。
フランス出身のグノーですが、他に有名な曲にはオペラ「ファウスト」、同じくオペラ「ロメオとジュリエット」などがあります。
ちなみに、バチカン市国の国歌もグノーが作曲しています。
声楽の他にもたくさんの楽器で演奏されていますが、もう一つ、チェロの演奏でどうぞ。
(3)マスネ「タイスの瞑想曲」
フランスの作曲家、ジュール・マスネが書いたオペラ「タイス」の、第2幕の第1場と第2場の間奏曲です。
この曲だけがとても有名で、あまりオペラの内容は知られていないのですが、実はなんと、娼婦と修道僧の恋愛物語、という何とも衝撃的なお話なのです。
舞台は4世紀の北アフリカ、ナイル河畔にあるアレキサンドリアという町。修道僧アタナエルは、故郷のアレキサンドリアが絶世の美女の娼婦タイスによって堕落していることを知り、心を痛めます。そして、タイスを神の道へと導くべく、彼女に真実の愛と信仰を説きます。
最初は鼻で笑っていたタイスでしたが、享楽的な人生に虚しさを感じていたこともあり、次第にアタナエルの説得を受け入れ、宗教に帰依することにします。
しかし、いつしかアタナエルはタイスの恋の虜となり、信仰と肉欲の葛藤に悶え苦しみます。それが彼女への愛であると気付き、彼女に想いを伝えようとしますが、それが叶わぬまま、タイスは尼僧院で神の名を呼びながら死んでしまう… という、切ないお話。
このタイスの瞑想曲は、タイスがこれまで生きてきた俗世間から、信仰の世界へと大きく心が転換するときの、タイスの心情と決意を描いた曲です。官能的な愛と美、宗教的な愛と美が織り混ざった、非常に美しい曲です。(ちなみに演奏時間はたったの5分。タイス、5分で決心しています。)
曲だけ聴くと、とてもそんなストーリーが想像つかないほど美しく平和な曲ですが、2人に想いを馳せながら聴いてみるとまた違った風に聴こえてきます。オペラの方も、ぜひ観てみたいものです。
(4)ドビュッシー「月の光」
この曲は、前回の記事「初心者の方におすすめなクラシック5選」でも紹介させていただきました。今回のリラックス音楽にもどうしても外せないと思ったため、再度紹介させていただきます。
⇒日本人好みのクラシック音楽とは?初心者におすすめの作曲家&楽曲5選!
この曲はフランスの作曲家ドビュッシーのピアノ独奏曲「ベルガマスク組曲」のうちの一曲。
当時の作曲家たちが好んでモチーフにしていたというフランスの詩人、ヴェルレーヌの詩集の「艶なる宴」の第1篇に、月の光という詩があります。ドビュッシーはこの詩からこの曲の着想を得たようです。
その詩がこちら。
あなたの魂は選りすぐった風景
魅惑的な仮面、ベルガモの衣裳
リュートを奏で、踊りゆく
幻想的な仮面の下に悲しみを隠し
恋の勝利や人生の成功を
彼等は短調の調べにのせて歌う
その幸福を信じる素振りもなく
その歌は混ざりあう、月の光りに
悲しく美しいあの月の光の静寂に
梢の鳥たちを夢に誘い
すらりとした大きな大理石の噴水を
うっとりとすすり泣かせるあの月の光に
引用元:http://www.ne.jp/asahi/uta/tani/Lesson/Kakyoku/Yakushi/LessonCDLune.htm
美しい詩ですね…。詩も音楽も、どちらも本当に素晴らしく、これを説明する言葉が見つかりません。ぜひ、思い思いの月の光を想像しながら、ヴェルレーヌの詩と併せて鑑賞してみてください。
(5)ホルスト「組曲 惑星」
最後の曲は、イギリスの作曲家であるホルストが太陽系の惑星をテーマに作曲した、壮大な組曲です。
構成は以下の通りです。
1.火星 〜戦争をもたらすもの〜
2.金星 〜平和をもたらすもの〜
3.水星 〜翼のある使者〜
4.木星 〜快楽をもたらすもの〜
5.土星 〜老いをもたらすもの〜
6.天王星 〜魔術師〜
7.海王星 〜神秘主義者〜
この中でもリラックスにおすすめな曲は、金星と、木星です。木星は、日本で平原綾香さんが歌ったことで、一躍有名になりましたね。
金星の方はあまり馴染みがないですが、ゆったりと優しく愛らしく、癒される曲です。
ホルストは、天文学ではなく、占星術からこの曲の着想を得たようです。
占星術でそれぞれの惑星は、
水星は知的なことやコミュニケーションの星、金星は愛と豊穣の星、
火星はエネルギッシュでやや攻撃的な星、
木星は拡大と繁栄の星、
土星は節制と課題の星、
天王星は革命的な星、
海王星は神秘的な夢の世界の星
と、されています。 まさにそれぞれそのような曲となっています。
ちなみにこの後1930年に、冥王星が発見されて惑星に加えられましたが、ホルストが続きを書くことはありませんでした。もし書いていたらどんな曲になったのかは、気になるところです。
冥王星は、占星術では、死後を表したり、大きな軌道で、知らず識らずのうちにその人自身に強い影響をもたらすとされる星なので、おどろおどろしい、ホラリーな曲が出来上がっていたかもしれません。
しかしその後、やっぱり冥王星は惑星から外れることになりますから、ホルストさん、書かなくて正解だったかもしれません。笑
この曲はホルストの名前以上に有名であり、全世界で愛されている作品ですが、彼自身は、自分の他の曲がこの曲の影に隠れてしまうことを不満に思っていたようです。
ですが、ホルスト没後の約50年後の1984年、アメリカの天文学者が発見した小惑星3590は、彼にちなんで「ホルスト」と命名されました。この曲だけでなく、ホルスト自身が、世界中から愛されていたということがよく分かります。
ホルストさん…良かったですね♪
ふと夜空を見上げると、無数の星が見えます。宇宙に想いを馳せ、自分の存在を振り返ったとき、自分が大きな愛に包まれていたことを思い出します。
どんな人も、この宇宙なくして、生まれることはできませんでした。自分が生命を授かり、こうしてここに存在しているというのは、なんと奇跡的で、幸せなことでしょうか。
この組曲「惑星」は、音楽とともに宇宙と一つになれるような、壮大な愛と癒しの曲です。心を宇宙へと旅立たせながら、聴いてみてくださいね。
おまけ1『教会音楽でリラックス』
ところで、クラシック音楽の起源をご存知でしょうか?元々、クラシック音楽は、神様に捧げる『歌』でした。
7世紀前半、日本では聖徳太子が大化改新を律令化していた頃、ヨーロッパではキリスト教が広く普及し、国教にまで発展していきました。各地の修道院では毎日礼拝が行われ、様々な聖歌が歌われていました。
その様々な聖歌を、もっと普遍的なものに統一しようと、当時の王様であるグレゴリウス1世がまとめたものが、『グレゴリア聖歌』で、これがクラシック音楽の始まりだとされています。
グレゴリア聖歌はこのような曲です。
信仰心に満ちた、美しく純粋な響きの音楽ですね。当時の音楽のテーマが、人ではなく『神』
であったことが分かります。
その後、時代が進んで科学が台頭するようになると、人々の信仰対象は次第に神から『科学』
へ、ひいてはそれを扱う『人間』へと変わっていきました。それに伴って、音楽文化も、そのような時代を反映して発展していきました。
つまり、歴史が古くなるほど神に近く、新しくなるほど人間らしい、ということが基本的には言えると思います。
さて、一時期流行った『アドラー心理学』によると、人間の悩みや苦しみのすべては『人間関係によるもの』なのだそうです。確かに、突き詰めるとそうなのかもしれません。
ですから、もし人に疲れてしまったようなときは、なるべく古い音楽、バロック音楽や古典音楽などを聴くと、リラックスできるのではないかなと思います。
おまけ2『鏡のように自分を映し出してリラックス』
また、自分とどこか似ていて、シンパシーを感じる作曲家の曲を聴くのも良い方法です。自分と向き合って、1人でゆっくりと過ごしたいようなときにおすすめです。例えば、自分の好きな国や、時代などを調べて、そこからどんどん広げていって見つける方法。
それから、自分の好きな曲があれば、その作曲家が影響を受けた作曲家や、反対にそれを踏襲した作曲家の音楽を聴いてみたり。
また、少し気になった作曲家がいれば、生い立ちやエピソードなどから、その人を想像しながら曲を聴いてみるなど、常にアンテナを立てておくと、見つかりやすいと思います。
参考までに…
一人っ子で内気だけども、心の中に深い自分の世界を持っているような方は、ショパンが合うかもしれません。
派手なことが好きで、いつもワクワクするようなことを求めている方は、マーラーやワーグナーが合うかもしれません。
恋愛体質で、夢を見ることや美しいものが大好きな方は、ドビュッシーやリスト、フランク。
反骨精神に溢れたエネルギッシュな方はロシア音楽、例えばラフマニノフやチャイコフスキー、ムソルグスキーやボロディン。
寒い地域に生まれ育った方はシベリウス。
人から変わってるねとよく言われる方はサティ。
ホラー映画やおどろおどろしいものが好きだったり、芸術家気質な方は、スクリャービンやショスタコーヴィッチ、メシアン。
理系で高学歴な方はブラームス。野望があり、気分のムラが激しい方は、ベートーヴェン。
などなど。
是非、お気に入りの作曲家を見つけて、仲良くなってみてくださいね!
最後に
クラシック音楽にはオペラと声楽以外に基本的に歌詞がありません。それゆえに、さまざまな人のそれぞれの想いを受け入れることができます。普段なかなか表現しにくい言葉や感情を、曲が代わりに表現してくれて、さらに楽器を通すことで濾過されて、より美しいものへと昇華してくれるのです。
あなたの秘めている想いを、好きなクラシック音楽に重ねて、そっと打ち明けてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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