香川県では、2020年に、ゲーム依存症を予防するとして、ゲーム条例を打ち出しました。

 

この政策は賛否両論で、当時、高校3年生の男性とその親子は憲法に違反すると訴えて、裁判を起こしたほどです。

 

私は、ゲーム条例という言葉を、はじめてニュースで聞いた時

・この条例を作るために大勢の人の時間や税金を使う必要があったのか?
・子供にとって、他にもっと良い政策はなかったのか?

とふと思いましたが、あらためて、何がおかしいかをこの記事でまとめてみました。

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私が『ゲーム条例はおかしい』と感じる点

私は、特に以下の点についておかしいなと感じました。

  • ゲーム条例の内容自体。なぜそう決めたのかがあいまい。
  • そもそも親子で話し合って解決する問題では?守らない家庭も多そう
  • なぜゲームだけをターゲットにしているのか?
  • この条例がおかしいと裁判も起こされている
  • ゲーム業界への影響もあるのでは?

ひとつひとつまとめてみたので説明してみますね。

ゲーム条例の内容自体。なぜそう決めたのかがあいまい。

ゲーム条例の内容は簡単に言うとこのような感じです。


『香川県条例第24条』

・2020年4月1日施行
・18歳未満の子供のみ対象
・ゲームの利用時間は1日60分。休日90分まで。
・スマホの利用は、中学生以下が21時まで、それ以外は22時まで
・罰則はない

 

この条例が出された理由のひとつとしては、

子供がゲーム依存症となると、大人の薬物依存と同様に抜け出すのが困難になる

というもの、だからこそ、その対策を実施しなくてはならない。そんな思いから施行された条例なので、それに関してはわからなくもないです。

 

とはいえ、私は、罰則はないにしても、これは人権に関わる問題にも思えます。

以下のような事も公にされておらず、疑問に感じます。

・年齢の設定を何をもとにどうやって決めたのか?
・ゲーム、スマホの利用時間を何をもとにどうやって決めたのか?
・なぜゲームだけなのか?他にも依存するようなものはあるのでは?
・パブリックコメントの内容に疑問が残る

一説には、香川県の議長の娘が友達とゲームをしていて、その後、ゲーム脳というのがあると知り、それを防がねばと思い、ゲーム条例を作ったといわれております。

作った理由はなんでもよいですが、『なんでこの条例を作る必要があるのか?』『なぜこの内容になるのか?』『こうする事によって具体的にどうなるか?』を、もう少しみんなが納得できるような形で説明をした上で施行して欲しかったですね。

 

行政が家庭に介入して制限するのはおかしいのでは?

これは、そもそも親子で話し合う問題だと思います。はじめからしっかりとルールを決めて、子供もそのルールを守っている家庭からすれば全く関係ない条例ですよね。

 

一方、「いくら注意してもゲームをやめてくれない」「どうしたらいいのか分からず困っている」といった 保護者も多いのではないでしょうか。この条例が口実となり、子供が受け入れてくれる可能性もあると思います。

 

ただ、自治体が決めたこの、罰則のないルールが、どのくらいの効果があるのか、疑問に思います。

 

なぜゲーム依存だけをターゲットにしているのか?

長時間没頭したら危ないのは、ゲームだけではないはずです。例えば、テレビ、アニメ、漫画等の娯楽なんかはその代表的な例ですが、これらも依存症になりえます。

 

また、習い事等で、子供の頃からピアノ、野球、サッカー等々、毎日長時間をかけて練習が必要なものもありますよね。依存症とは少し違うかもしれませんが、こういったもので、心身を壊すきっかけになるものはいくらでもあると思います。

 

WHO(世界保健機構)は、2022年1月より国際疾病分類(ICD)に、ゲーム障害を追加されました。以前からゲーム依存の問題について国際的に取り上げられていたのも、ゲーム条例を作ったひとつの理由かもしれません。

 

でも、なぜ『ゲーム依存』だけ今回狙い撃ちにしたかの明確な説明がありません。

 

最近ではゲーム専門の学校、部活も全国に増え、eスポーツもさらに注目が高まっています。このような場合、授業時間や、ゲームの練習時間はどうなるのでしょうか?スポーツ選手も目指すのと一緒で、プロゲーマーを目指しているのなら、1日1時間制限は関係ないのでしょうか?

 

この条例がおかしいと裁判も起こされている

先日、香川県のゲーム条例は違憲であると、県を相手に損害賠償を求めた裁判は、高松地方裁判所より「条例は合憲」として、元高校生の親子の請求を棄却しました。

 

この親子が訴えた、自己決定権、幸福追求権への侵害と精神的苦痛はどうなるのでしょうか。子供たちの幸せな未来のための条例、ではないように思えてきます。

 

私には3人の娘がいますが、みんなスマホやパソコンを、器用に使いこなしています。中学2年生の長女には最近、自分のスマホを持たせたばかりで、使う時間を親子で話し合い、ルールを決めたりしています。

 

そもそも、制限できている家庭では、この政策は必要なく、「家庭への介入」「学業との両立は可能」との、専門家からの意見もあります。何でも規則にすれば、人は考えることがなく楽だと思います。その法律が正しいのか、間違いなのかも判断できずに従う危険もあると思います。

 

ハドソンの元社員であった高橋名人は、仮に条例などにする場合は、子供が他で遊べる場所を整備すべき、と自身のブログにあげています。

 

私もそれに近い考えをもっていて、ゲームを一律で規制・制限するのではなく、ゲーム以外に夢中になれる何か、例えば、自治体が率先して、遊べる場所だったり、イベントだったりを作ったりしてゲーム時間を奪うくらいのモノがでてきたらいいなと思っています。

 

ゲーム業界への影響もあるのでは?

子供がゲームで遊ぶ時間が少なくなれば、香川県におけるゲームソフト・ゲーム機の売上が減るかもしれません。ひとつの自治体が制限をかけて、ゲーム業界に与えてしまった損害はどうすればよいんでしょうか?

 

たばこ・お酒・ギャンブル等は、明確に健康に害を及ぼす可能性があるので、規制をかけることにより、企業の売上が減るのはまあ分かります。

 

ですが、これと同じような事をゲーム業界に当てはめて規制するというのは、私は良いとは思えないです。(※もちろんゲームの中の有害な表現を規制するというのはありだと思いますが)

また、条例の第8条の中には、

県は、国に対し、eスポーツの活性化が子供のネット・ゲーム依存症につながることがないよう慎重に取り組むとともに、必要な施策を講ずるよう求める

とあります。

 

この条例を適用すると、香川県からはeスポーツのプロプレイヤーが生まれにくい状況になると思います。当たり前ですが、18歳までは1日1時間しか、一応条例上できない事になりますからね。

 

こういった事を考えると、香川県では、ゲーム産業そのものが縮小してしまう可能性があるのではないでしょうか?

 

まとめ

いろいろ、おかしいのではないか?という点をまとめてみましたが、すでに条例は施行されたもの。

 

県は、ネット・ゲーム依存の実態に関する調査を行うと条例文に書いていますので、どんな結果がでるのか今度も見ていきたいと思います。

 

でも、そもそも、この条例の施行前は、積極的にゲーム依存症の調査をしていないとおもわれるので、条例施行前と施行後で、どう変わったかを定量的に測れるのか疑問なんですけどね。

 

娘への、ゲーム依存による脳への弊害を心配した、親心から始まったとも言える、この政策。子供の未来を考えた時、それぞれの家庭でのルールを決めることは大事だと思います。この条例をきっかけに、親子で話し合うきっかけになれば良いのではと思います。

 

親が決めたルールではなく、自分でルールを決め、それが守れた時、自己管理能力は育っていくと思います。

 

この条例が、親子で話し合うきっかけになればと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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