フィリピンの訴えにより、話題になった『九段線』とは一体なんでしょうか?
簡単に言うと『中国が勝手に地図上に引いた中国の領海を示す線』です。
他国の事などお構いなしに引いてしまった線です。
例えがドラえもんですみませんが、まるでジャイアンみたいですね。
でも、こういった表現ができるという悪い意味での面白さがあり、笑えないジョークのように思えます。
一体なんで面白いのか?なんで笑えないのか?簡単に解説してみます。
(Author: アール)
九段線って?
まず九段線とは、この地図上に赤い破線で引かれた9つの線の事です。
この九段線をつなぐと、中国大陸の方からベロって出ている舌のようにも見えるので、中国の『赤い舌』とも言われているらしいですね。
さて、この九段線、南シナ海をほぼ囲い込んでいますよね。
そして、中国大陸からは随分と離れていますよね。
でも中国の主張では、この九段線の内側が中国の領海なんだそうです。
あ、正確には、「この九段線の内側が中国の領海だ!」と主張しているわけではないらしくて「九段線の内側に歴史的権利がある」という、なんとも曖昧な主張をしているのです。
とはいえ、九段線の内側の実効支配を進めていることもあり、実質的には中国の領海だ!という思いなのでしょう。
随分と曖昧な九段線!いつ、どういった経緯で設定されたものなのでしょうか?
九段線はいつ、どういう根拠で設定されたのか?
今の中国が建国される前の1947年、当時の中華民国が地図上に引いた破線が始まりと言われております。この当時、破線は11本でしたが、1953年、中華民国に変わり今の中国(中華人民共和国)ができた時に11本のうち2本を除去して9本の線となり、九段線と呼ばれるようになりました。
なんで、地図上にそのような線が引かれたかというと、その破線内の権利を主張するためです。
1953年に設定された九段線をそのまま今の中国でも保持し、「歴史的経緯を経て形作られた権利がある」と主張しているのです。
しかしながら、そこに線を引けるだけの根拠、つまり、中国がその領域を管轄するための根拠は全くなく、また中国政府は、この九段線の意味をきちんと適切に説明したことがないのです。
さらに、中国は国連の海洋法条約に加盟しているのですが、その条約では、沿岸国の基線(ほぼ海岸線)から200海里(約370km)以内を排他的経済水域(EEZ)として、資源や開発の権利を与えています。このように国際条約から見ても、中国沿岸から遠くはなれたところまで「中国の権利が及ぶ」はずがありません。(※九段線の最南端は、中国大陸から1000キロ以上も離れています)
そんな『どうみても中国がどうこうできる領域じゃないでしょ!』
というところを堂々と『九段線の内側は中国のものだ!』という主旨の主張をしています。
ある意味、お笑いかよ!ってつっこみたくなるのですが、
この悪い冗談、笑えないです。
この悪い冗談が半分既成事実化しているからです。
というのは、中国により、すでに九段線内の複数の岩礁などで、埋め立てが行われ人工島が造成されています。
さらに、その人工島では、滑走路や港までが整備され、軍事化が進められているのです。
勝手に九段線を引かれた沿岸国の立場は?
勝手に九段線というものを自国の海岸線の近くに引かれた沿岸国は、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイといった国々です。
当たり前ですが、勝手に地図上に線をひいて、「ここは自分達の領域だから!」なんて話は通用しませんよね。
まさに「オレのものはオレのもの、お前のものもオレのもの」というジャイアン的発想!
という訳で、これら沿岸国はだまっちゃいません。
そこで、のび太くんフィリピンが『ドラえも~ん!!』と訴えた場所は、オランダ・ハーグにある国際仲裁裁判でした。
確かに、中国と他の南シナ海の沿岸国では、ジャイアンとのび太くらいの力の差がありますからね、どこかに助けを求めるしかないですよね。
まとめ
仲裁裁判の判決は、当たり前ですが中国の主張は法的根拠なしとのことで九段線を否定。
中国は即座にこの結果に反発。
あれこれ理由をつけて、仲裁裁判の判決を無視する構えを見せています。
とはいえ、国際的にはとても大きな判決だと思います。
中国の覇権主義、ジャイアニズムを止める一歩となって欲しいものです。