国連の見解では、沖縄の人々は先住民族にあたるそうです!
「日本にインディアンみたいな先住民なんているの?」という感想をお持ちの方も多いと思います。

実は日本にも先住民はいるのです!
但し、日本政府が先住民族として認識しているのは『北海道のアイヌのみ』です。

何故国連は『沖縄の人々は先住民』という認識を持つようになったのでしょうか?
先住民族の定義とは一体なんなのでしょうか?

私も気になりましたので、以下にまとめてみました。

(ライター: アール)

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『沖縄の人々は先住民』という国連の見解について

2016年4月27日の衆院内閣委員会にて『沖縄の人々は先住民』という国連見解に対して「撤回、修正をするよう働きかけたい」との外務副大臣の答弁がありニュースとなりました。

沖縄県民が先住民?
どういう事?
と思った方は多いのではないでしょうか?

沖縄でどのように教えられているかは私にはわかりませんが、少なくとも、本州で普通に教育を受けていれば、『沖縄の人々=先住民』という発想は生まれにくいのではと思います。

ですが、すでに2008年の段階で、国連は以下の見解を発表しています。

2008年10月30日、国連自由権規約委員会 第94回会期にて、

委員会は、締約国が正式にアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々を特別な権利と保護を付与される先住民族と公式に認めていないことに懸念を持って留意する。(第27条)

締約国は、国内法によってアイヌの人々及び琉球・沖縄の人々を先住民族として明確に認め、彼らの文化遺産及び伝統的生活様式を保護し、保存し、促進し、彼らの土地の権利を認めるべきである。

締約国は、アイヌの人々及び琉球・沖縄の人々の児童が彼らの言語であるいは彼らの言語及び文化について教育を受ける適切な機会を提供し、通常の教育課程にアイヌの人々及び琉球・沖縄の 人々の文化及び歴史を含めるべきである。

さらに、2014年9月26日には、人種差別撤廃委員会が以下の勧告を日本政府に出しています。
ちょっと長いですが。

委員会は,ユネスコによる独特な民族性、歴史、文化及び伝統の承認にもかかわらず、琉球/沖縄を先住民族として承認しない締約国の立場を遺憾に思う。

委員会は,沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に基づく、琉球に関して締約国によってとられ実施された措置に留意するものの、彼らの権利の保護に関する琉球の代表との協議のために十分な措置がとられてこなかったことを懸念する。

委員会はまた、消滅する危険がある琉球の言語を振興し保護するために十分なことが行われていないとの情報及び教科書が適切に琉球の人々の 歴史及び文化を反映していないとの情報を懸念する(第5条)。

委員会は締約国が、その立場を見直し、琉球を先住民族として承認することを検討し,また彼らの権利を保護するための具体的な措置をとることを勧告する。

委員会はまた、締約国が、琉球の権利の促進及び保護に関連する問題について、琉球の代表との協議を強化することを勧告する。

委員会はさらに締約国が、琉球の言語を消滅の危険から保護するために採用された措置の実施を加速させ、彼ら自身の言語による琉球の人々の教育を促進し学校カリキュラムにおいて用いられる教科書に彼らの歴史及び文化を含めることを勧告する。

とあるNGO団体が訴えかけて、国連を動かしたと言われております。
訴えかけた団体には、色々と思惑があっての事だと思いますが、ここでは割愛させていただき、

沖縄県民は本当に先住民と言えるのか?

について考えてみたいと思います。

では、先住民族の定義とは?

まずとっても簡単にですが、琉球、及び、アイヌが日本人になるまでの過程を説明したいと思います。

琉球の人々

その昔、沖縄は『琉球王国』として大規模なまとまりをもった民族が統治していて、日本本土とは違うある程度の特殊性を持ち、独特の民族性、歴史、文化、伝統がありました。

そして、江戸時代には薩摩藩が琉球王国を支配し始めました。
その当時は、薩摩藩への貢納を義務付けられたものの、独立国家の体制を維持していました。

明治時代に入り、正式に日本に編入される事となりましたが、独立国家体制を維持できていたこともあり、独特の文化、生活などもさほど失われていないように思います。

アイヌの人々

アイヌは狩猟民族で小規模なまとまりで暮らし、琉球王国みたいな国家はもともとありませんでした。
当時、北海道は、対ロシア戦略上とても重要な土地であり、日本はアイヌの住む北海道を急いで掌握したいという思惑があったようです。そのため、アイヌの日本人への同化政策が急いでとられ、アイヌの文化やアイデンティティを徹底的に奪ってしまったという過去があります。

さほど独自性を奪われずにゆるやかに日本人化した琉球の人達と、急いで無理やり日本人化させられたアイヌの人達。
このような大きな違いがあるようです。

さて、これを踏まえた上で、先住民族の定義です。
手抜きですみませんが、wikipediaによると、先住民族の定義は以下のようです。

政治的に劣勢な地位にある集団で、その国の支配的な地位にある集団のものとは異なった、同じエスニック・アイデンティティを共有し、現在統治している国家が支配を及ぼす以前から、その地域において、エスニックな実体をなしていたもの

アイヌは日本政府が先住民族と認めています。

では、沖縄について考えてみますと、この定義からすると、議論はあるかもしれませんが、先住民族といっても良いのかなと思えてきました。

とは言っても、沖縄の文化、生活、言語等が、どれくらい日本のものと異なっていたかというと、台湾や韓国などと比べればだいぶ日本的なものであったので、そこまで文化的に違っていなければ、先住民と呼ぶのもどうかなと感じます。

日本政府も『沖縄の人々は先住民』という国連見解に反対していますので、どちらかといえば、先住民族と考えるのが少数派かなと感じます。

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まとめ。国連へ訴えた団体の望みは一体?

しかし、気になるのは、「沖縄を先住民族」と国連に訴えた団体についてです。

何故なら、アイヌは、アイデンティティを奪われてしまったという事があり、訴えられるという事が理解はできます。

一方で、沖縄はというと、国連に訴えられる程の文化やアイデンティティの破壊が行われたというイメージが個人的にはありません。
さらに、沖縄では、戦後70年にわたって、琉球人あるいは先住民として認定する県民運動は発生していませんし、議論すら行われたことが無いとの事です。

それよりも、国防上、日本国内の米軍基地の多くが沖縄に置かれ、最近も辺野古等の基地問題が大きく取り上げられています。
国連に訴えた団体は、米軍の基地問題を解決したいがために「沖縄は先住民族」という事を使用しているように思えてなりません。沖縄県の翁長知事も米軍基地問題が『人権問題』だという主旨の発言を国連人権理事会でしていますので、なおさらそう思えます。

つまり「沖縄の先住民族の土地が不当に取り上げられ米軍基地にされてしまった。」というメッセージを出し、「米軍基地問題」を「人権問題、差別問題」として解決を促すように利用しているのでは?という事です。
「人権問題、差別問題」とするには、先住民族だったという立場が有効に働きますしね。

沖縄基地問題は、とても大きな問題で、私も何とかしてほしいと願う一人です。
ですが、先住民族とは違う問題だと個人的には思います。

日本政府が国連の見解に反対する事で、今後どうなっていくか、見守っていきたいと思います。

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