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三菱自動車の燃費不正問題!どんな不正なのか?わかりやすく解説!

2016/05/18 [本日] 1 views [累計] 4,644 views

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今回の燃費不正は何が問題?
他のメーカーもカタログ燃費がウソっぽいんだけど?
こういった疑問を、クルマの知識があまりない方、難しい専門用語がわからない方でも理解できるよう、クルマ業界でエンジニアをしている管理人アールが噛み砕いてまとめてみました。

【目次】
1.今回の燃費データ不正の問題について
2.燃費計測はどのように行われているのか?
3.いつ?どんな不正が行われたのか?
4.他メーカーは大丈夫?
5.まとめ

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1.今回の燃費データ不正の問題について

2016年4月20日、三菱自動車が、2013年6月から生産している軽自動車『ekワゴン』『ekスペース』などの4車種で、燃費試験のデータを不正に操作していたと発表しました。燃費を良く見せるために、燃費計測の試験の際に不正操作を行い、実際の燃費より5%~10%程度良い燃費がカタログにも記載されていたとのことです。

この不正操作が行われた軽自動車はすでに計62万台販売されていて、それだけでもすごい数だなと感じるのですが、その他の車種についても「燃費計測の際に、国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていた」と発表しており、もっと大きな問題に発展しそうな予感ですね。

三菱自動車Webサイト上での発表
http://www.mitsubishi-motors.com/publish/pressrelease_jp/corporate/2016/news/detailg420.html

今回の不正が発覚した『ekワゴン』の車種情報を見てみると、燃費が「26.0~30.4 km/L」との事。
一番燃費が良いグレードで、30.4km/L。

今回の不正で実際より5%~10%程度燃費が良くなるように見せかけていたので、実際のところは、
30.4km/L ⇒ 27.0km/L程度だったという事ですね。実走行してみると、さらに低くなると思いますが。

このような、カタログより燃費が低いのではないかという問題はたびたびおきており、最近では韓国の現代自動車が燃費データの不正操作を行い、アメリカで訴えられました。

現代自動車は、三菱自動車の技術協力のもと発展した会社。まさか、この不正も技術きょ...なんて事はないと思います(-_-;)。
が、各自動車メーカーのカタログ値に記載の燃費と実際の燃費で大きな開きがあるのも事実。

そうなると、他メーカーも多かれ少なかれ、何かしらの(不正)操作をしているのでは?という疑いも持ってしまいます。
では、実際の燃費計測はどのように行われているのでしょうか?

2.燃費計測はどのように行われているのか?

クルマの燃費は、様々な要因で簡単に変わってきます。例えば、アクセルの踏み方、エアコンの使用によって燃費が変わるのは分かりやすいと思いますが、温度、湿度、風といった気象条件によっても燃費が変わってきます。

そういった条件が変わっては正しい燃費の比較ができなくなります。
毎回の燃費測定の条件を同じにするため、屋内で温度等を一定にし、かつ、実際の走行はせずに測定を行っています。

具体的には、国土交通省が定めた方式に基づいて、審査機関(独立行政法人 交通安全環境研究所)において測定が行われます。
「実際の走行はせずに」と言いましたが、どうやって燃費を測っているかというと、
まず、燃費測定するクルマをシャシダイナモメータと呼ばれる、ローターの上に載せます(下図参照)。
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アクセルを踏むとタイヤが回転しますが、路面を走るのではなく、ローターが回転する事となります。
つまり、クルマは静止したままでタイヤが回転し、走行状態を模擬した状態で燃費を計測しています。

で、走行パターンも「国土交通省」が定めています。
停止状態から、何秒後に時速何キロにする。という細かい走行パターンが決められています(下図参照)。
この走行パターンにより、普段の走行状態を模擬しています。
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1200秒にわたる決められた走行パターンで消費した燃料から、1キロあたりの燃費を算出しています。

この走行パターンで不正ができるかというと、できないはずです。
というのは、審査官立会いのもとで行われるものだからです。

3.それでは、いつ?どんな不正が行われたのか?

先ほど、シャシダイナモメータ上でクルマが静止した状態でタイヤが回転(ローターが回転)して、走行状態を模擬していると書きましたが、ここでローターの負荷に関しての説明をしなければなりません。

実際にクルマが外を走行する場合、空気の抵抗を受けますし、タイヤが回転する時も、路面に対して転がり抵抗(タイヤのゴムと路面との摩擦)というものが存在します。

例えばですが、風が強ければ前に進むためにより大きなチカラが必要ですし、ボールを転がした時に地面との摩擦が大きければすぐ止まってしまいます。つまり、より前方へ転がすためには、より大きな力が必要です。
それと同じで、空気抵抗、転がり抵抗が大きければ、より大きなチカラが必要になり燃費も悪くなります。

これらの抵抗の大きさによって、クルマの燃費は結構変わってきます。

よって、通常の外で走っている状態に近づけ、つまり実燃費に近づけるために、これらの抵抗もシャシダイナモメータで模擬しています。
どのように模擬しているかというと、ローラーに負荷をかける事で実現しています。

そして、ローラーにどれくらいの負荷をかけるかを決めるために、燃費計測するクルマを実際に走行させ、空気抵抗、転がり抵抗を実測しています。

不正はそこにありました!
三菱自動車が、空気抵抗、転がり抵抗の値を実際より低く報告したという事です!


これら抵抗値の報告はメーカーの責任で行われており、抵抗値の測定も、審査官が介在しない燃費試験以前に行われていたため不正が入る余地がありました。

空気抵抗、転がり抵抗がどのように測定されているかの詳細はわかりませんが、決められた条件、走行パターンがあります。
さらに、信頼性を上げるために複数回の測定を行います。何回も測定を重ねれば測定された抵抗値はばらつきますので、ばらついた測定値の真ん中の値を報告する決まりとなっているようです。
今回の不正は、ばらつきの真ん中ではなく、下の方、つまり低い抵抗値を報告していたという事が明らかになりました。

しかし、それだけで燃費が5〜10%も変わるでしょうか?
私はそれだけではないと思っています。

私の推測ですみませんが、おそらく空気抵抗、転がり抵抗の値が実際より低く出やすい条件にした上で、それらの抵抗値を測定したのではないでしょうか?
例えば、タイヤの空気圧を少し高めにしてたとか、試験車両に何かしらの手を加えたのではないかという事です。

実際より空気抵抗、転がり抵抗の値が低く報告されたため、ローラーの負荷も下がり回転しやすくなり、燃費も実際より良くなったというカラクリでしょう!


【2016年5月18日追記】
調査が進んできて、様々な事が明らかになってきました。一部の車種では、空気抵抗、転がり抵抗の値を実測せずに、机上で計算した値を提出したなんていう明らかにアウトな報告もでてきています。

不正の全容はまだ見えておりませんが、あまりにも長きにわたる不正だったため、不正を許容してしまうような雰囲気、土壌が三菱自動車社内で作られていったのではないでしょうか?
だからこそ、上層部が『この燃費で売る!』と決めたら、何が何でも、それこそ不正をしてでもその燃費にしてしまうという雰囲気が当たり前になってきたのではないでしょうか?

誰か一人が悪いという訳ではなく、病原菌に蝕まれるかのように徐々に悪化した組織が、不正が当たり前というようになってしまった組織が問題だったのではないでしょうか。
これから、三菱自動車は、日産自動車の資本が入り、日産グループの一員となります。まずは、病原菌に蝕まれた、悪い雰囲気を正すための組織改革が必要ではないかと感じます。

4.他メーカーは大丈夫?

燃費といえば、購入したクルマの燃費がカタログに記載された燃費より、かなり低くてがっかりした人も結構いるのではないでしょうか?

つまり、今回の三菱自動車のケースは、たまたま見つかったというだけで、他メーカーも同じような事をやっているのではないのか?という事です。
私個人的には、三菱のようにあからさまな不正を行ったメーカーはないにしても、どのメーカーも違法にならない範囲でなにかしらやっているのでは?と思います。

例えば、他メーカ―でも、ギリギリ違法にならないような範囲で試験車両に何らかの手を加えて、抵抗値が低く測定されるようにしている。
という事は十分にあり得る気がします。

燃費の良さが売り上げアップのための武器になるので、できる事はなんでもやっておきたいという思いが各メーカーにあるのではないでしょうか。
ましてや、現状、カタログ燃費と実燃費に大きな開きがあるというのが周知の事実です。「少しくらいなら車両に手を加えてもわからないだろう。違法でもないし」なんて考えてしまうメーカーもあるでしょう。

今回のケースは、実燃費との差があまりにも大きいために指摘され、不正を隠し通せなくなったという感じでしょうか。現代自動車のケースもそう。

そういう訳で、他メーカーは大丈夫かといえば、違法的な事はしていないという事で大丈夫かもしれません。
ですが、今回の件で、カタログ燃費に対してのユーザーの目がこれまでより一層厳しくなると思われます。

燃費というものは実際に測れるものなので、カタログ燃費と実燃費との差がデータとして公開されれば、あまりにも差が大きいクルマ、メーカーは、徐々に信頼を失っていくことでしょうね。

5.まとめ

三菱自動車は、2000年と2004年に、2度にわたる大規模なリコール隠しをして、信頼を失い、またも、三菱かという声が聞こえてきそうです。
そして、今回の発表では軽自動車の4車種のみについての発表であり、その他の車種でも、すでに「法規で定められたものとは異なる方法で試験をした」と暴露しているので、もっと大きな問題になるのは間違いなさそうですね。

さらに、他メーカーはどうなのかという調査もされるでしょうから、今後の動向に注目ですね。

三菱自動車については残念ですが、長年築き上げてきた信頼もこのような不正で一気に崩れるので、特に他の日本の自動車メーカーは誠実であって欲しいなと強く思います。

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